点源パネル法
説明
背景
パネル法(panel method)は、物体まわりの流れ場を解析するための代表的な数値流体力学手法です。
本デモでは、非粘性・非圧縮・渦なし(ポテンシャル流)を仮定し、物体の外周に沿って点源を配置することで、流れ場を数値的に再現・可視化しています。
点源パネル法の考え方
物体表面を直線パネルの集合で近似し、各パネルの上(あるいは近傍)に特異点を置きます。次の条件を満たすように特異点の係数を決定します:
- 各パネルの制御点において、法線方向の流速がゼロ(非透過条件)
- (必要に応じて)遠方の流れ場が指定された一様流に一致
上記条件に基づいて過剰決定型の線形方程式系を構築し、最小二乗法により特異点の係数を求めます。
流速・ポテンシャルの数式モデル
特異点としては,色々なタイプのものを用いることができますが,ここでは点源(湧き出し/吸い込み)を用います.
点源1つによる速度場 \( \vec{u} \)、速度ポテンシャル \( \phi \)、および流れ関数 \( \psi \) は以下の式で表されます:
\( \vec{u}(x, y) = \dfrac{\gamma}{2\pi} \dfrac{\vec{r}}{|\vec{r}|^2}, \quad \vec{r} = (x - x_0, y - y_0) \)
\( \phi(x, y) = \dfrac{\gamma}{2\pi} \ln |\vec{r}|, \quad \psi(x, y) = \dfrac{\gamma}{2\pi} \arg(\vec{r}) \)
流れ場全体は,点源による速度場を合算したものとなります.
本デモの特徴
- 物体形状を多角形として定義し、各辺を長さに応じて自動分割
- 各パネルに点源を配置し、非透過条件を満たすよう強さを決定
- 物体内部を除いた流れ場(速度ポテンシャル・流れ関数・速度ベクトル)を計算・描画
- 物体の外形をすべての図に重ねて表示し、流れとの相互作用を視覚的に理解可能
可視化内容
- 速度ポテンシャル φ:流線と直交する等高線として描画
- 流れ関数 ψ:流線そのもの(等値線)として描画
- 速度ベクトル:流速の方向と大きさを矢印で表示
主な応用先
- 翼型・船体まわりの流れ解析や設計支援
- パネル法やポテンシャル流理論の教育教材
- 多角形構造物(散気管、障害物など)まわりの速度分布解析
使い方
デモにある「計算実行」ボタンクリックすることで、ポテンシャル流の計算が行われ,結果が可視化されます。
すべてブラウザ内で動作し、インストールは不要です。
プログラムコード
デモ
Fuijta@PARI(2025)